詳報④ 現地視察研修
弥栄町コース【日本の原風景が息づく山あいの集落の先進的な地域づくりと、若者たちが挑むクラフトジンをめぐる】
シンポジウム2日目は市内3コース(※2)で現地視察が行われました。訪れたのは、美しい清流と山あいに広がる平野がのどかな風情を醸し出す弥栄(やさか)町。米や野菜、フルーツなどの農業を中心に、シルク織物の工場も点在します。明智光秀の娘・細川ガラシャが隠棲(いんせい)したといわれている味土野(みどの)や、古代米の復活栽培に成功し全国に普及するきっかけになったことでも知られる町です。弥栄とは『万歳』に近い意味だそうで、おめでたい言葉でもあります。
地域版ふるさと納税制度の活用
最初の訪問地は、昨日のパネルディスカッションに登壇された三本さんの会社と連携して地域活性を推進している弥栄町の野間地域。70世帯・約130人が暮らす小さな集落では、先進的な取り組みが数多くなされているといいます。道中のバスの中では、野間連合区長の藤原 利昭さんが撮影・制作した住民の皆さんの笑顔溢れる動画を披露いただき、ほっこりした気持ちで集落に到着。現地では、昨日に続いて三本さんより「地域版ふるさと納税制度」を活用した取り組みなどをご紹介いただきました。今年度は地域のお米コンテストや住民のための健康カレンダー製作、都市部の医療機関や医療関係者と福祉イベント「野間の保健室」の定期開催、特産のコシヒカリのブランド化により生まれた事業利益を住民へ還元するなど、自主財源をうまく循環させながら事業を実施しているという話に、参加者は興味深く聞き入りました。
続いて、野間の地域おこし協力隊・杉本 くるみさんから、地域に寄り添うコミュニティナースとして住民の健康や生きがいづくりに取り組む活動が報告されました。地元女子サッカーチームに所属する自身の強みを活かし、元気な若者を連れてきて住民と一緒に地域の課題解決を行うなどの活動に、明るい未来のエネルギーを感じました。



世界最高金賞のクラフトジン
続いては、標高620m、300種類以上の薬草薬樹が自生する丹後半島の山林へ。丹後天橋立大江山国定公園の豊かな森で、朝手摘みした植物をフレッシュなまま蒸留してクラフトジンを製造する『京丹後舞輪源(まいりんげん)蒸留所』に向かいます。ここで造られたクラフトジンはSFWSC2025(サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション)で最高金賞を受賞! そのこだわりの製法について、「ジンに欠かせないジュニパーベリー(※3)を始め、柑橘類、ハーブ、スパイスなどのボタニカル、超軟水と超硬水の2種類の割水など全ての原材料を、この森から自分たちの手で採取し、一滴一滴手間暇を惜しまず蒸留している最高のフレッシュジンです」と話すのは、蒸留所を経営する株式会社エーゲル代表取締役・伊豆田 千加さん。
早速試飲をいただくと、鼻を抜けるウッディでスパイシーな香りに驚き、口に含むと芳醇かつ爽やかな味わいにシビれます。さすがは世界のスピリッツ大会において、審査員全員がブラインドテイストで満点をつけたという評価にも頷ける美味しさ。丹後半島の自然循環の源である山の恵みに感謝し、また自宅でゆっくり味わうべくお土産に購入。伊豆田さんに「都会のお洒落なバーに行った際にはぜひ、“舞輪源(まいりんげん)あります?”と通な感じで注文して銘柄を宣伝してくださいね!」と見送られ、それは粋な広報だなと思わず顔がほころびつつ蒸留所を後にしました。








昼食は丹後王国『食のみやこ』で、古墳が多い丹後地方にちなんだ古墳弁当に舌鼓。目にも楽しいお弁当に、おもてなしの心もいただきました。


今回のシンポジウムでは、新たな取り組みにチャレンジする人々との出会いに多くの学びと刺激を受けるとともに、老いも若きも一人ひとりが『楽しみ』と『役割』をみつけてイキイキ暮らす『健康長寿のまち・京丹後』の秘訣を垣間見ることができました。
【文・白波瀬 聡美】
(※2)記事紹介の『弥栄町コース』の他、ユネスコ世界ジオパークの美しい海岸線とレトロな漁村の町で百寿健康ウォーキングを楽しむ『丹後町コース』。日本の稲作発祥神話と羽衣伝説の地で、伝統が息づくまちなみと、新たな暮らし方・働き方をデザインする人々に出会う『峰山町・久美浜町コース』の3種の現地視察研修が行われた
(※3)ヒノキ科の針葉樹「ジュニパー」の球果







